IR担当の仕事とは?業務内容から年収、向いている人まで徹底解説
この記事の結論
- IR担当は企業全体を理解し、経営者と共に投資家と対話できる業務
- 会計やファイナンスの知識があり、コミュニケーション能力が高い人に向いている
- IR担当になるには財務知識や関連部署での業務、英語力があると望ましい
IR担当者は投資家とコミュニケーションをとり、企業価値が正しく株価に反映される事を目的に業務を行います。
この記事ではIR担当者の業務内容や、向いている人の特徴を解説していきます。
IR担当の業務内容
IR担当者は、自社の財務状況や経営戦略を投資家に正確かつ効果的に伝える重要な役割を果たします。
主な業務内容は以下の通りです。
IR担当の業務内容
R担当者は、企業の最新情報を常に把握する必要があります。
そのため、以下のような活動を行います。
- 各部署とのコミュニケーション
- 経営陣との定期的な情報共有ミーティング
- 財務部門との四半期ごとの決算数字の確認
- 事業部門からの最新プロジェクト情報の収集
このように社内の数多くの部署との連携を行う必要があります。また、経営陣とのミーティングもあるため、経営者目線も培う必要があります。
開示資料作成
IR担当者は、投資家向けの各種開示資料を作成します。主な資料には以下のようなものがあります。
- 決算短信
- 決算説明会資料
- 有価証券報告書
- 統合報告書
- 株主通信
これらの資料作成には、財務数字の正確な理解と、複雑な情報をわかりやすく伝える能力が求められます。
特に近年は、SDGsなど非財務情報が求められるようになっています。決算説明資料の充実や英語での開示など、開示資料の量・質ともに高水準なものが求められています。
投資家との対話
IR担当者は、機関投資家や個人投資家との直接的なコミュニケーションを担当します。
具体的な活動には以下のようなものがあります。
- 決算説明会の運営(半期、または四半期毎が多い)
- 機関投資家との個別面談、グループMTG
- 海外IRロードショーの企画・同行
- 個人投資家向け説明会の開催
- 投資家からの問合せ対応(メール、電話)
これらの活動を通じて自社の経営状況や中長期戦略を投資家に理解してもらい、適切な水準の株価(時価総額)を目指すのがIR担当者の役割ともいえるでしょう。
IR担当の年収
IR担当者の年収は、企業規模や経験によって大きく異なりますが、平均年収は650万円ほど*となっています。ただし、CFOや経営企画部長など役職によって年収は大きく変化する点には留意しましょう。
*indeedより
この年収は、日本の平均給与である460万円と比較して高い水準にあるといえます。
※令和5年分 民間給与実態統計調査より
この年収の高さは、IR担当者が置かれるのは基本的に上場企業のみであるという点も関係しているでしょう。
財務知識・株式市場の知識・コミュニケーション力・英語力といった複合的なスキルが求められ、業務目的も自社の時価総額に直結する面があることも、年収水準を高める要因と考察できます。
IR担当に向いている人
以下のような特徴を持つ人はIR担当に向いていると言えるでしょう。
数字に強い人
IR担当者には財務諸表を読み解く力と、数字の背景にあるストーリーを理解する能力が不可欠です。
例えば、以下のような点が挙げられます。
- 財務三表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書)の理解
- 財務指標(ROE、EBITDA、PERなど)の計算と解釈
- セグメント情報の分析
- 自社の株価(時価総額)や各指標(PER、PBRなど)の理由を考える力
特に東証プライム上場企業や時価総額の大きい企業ほど機関投資家との対話も増えるため、高水準な能力が求められます。
人と話すのが好きな人
IR担当者は部署横断での情報収集や投資家の対応など、様々なステークホルダーとのコミュニケーションが求められます。
そのため、以下のような資質が重要です。
- 相手の質問の真意を理解する洞察力
- 複雑な情報をわかりやすく説明する能力
- ストレス下でも冷静に対応できる精神力
- プレゼンテーション能力
企業研究が好きな人
IR担当者は自社はもちろん、投資家に対応するため業界全体や競合他社についても調べる必要があります。
自社の事業モデルや今後の展望、業界動向や市場環境、競合他社の動向など多岐にわたる企業の情報を知ることが求められます。
また、その過程で経営者目線で事業戦略や市場動向を考えられるとなお良いでしょう。
IR担当になるには
IR担当を目指す場合、以下のような経験があると良いでしょう。
これらの知識を取得するために、IR関連のセミナーや資格勉強をすることも有効です。
似た部署での経験
IR担当者は以下の部門から異動するケースや、兼任するケースが多いです。
経理・財務部門
財務諸表の作成や管理に携わることで、自社の財務状況を深く理解できます。
決算業務の経験も、IRで必要となる決算関連資料の作成に直結します。
経営企画部門
中長期戦略の立案や事業計画の策定に関わることで、経営視点を養えます。
各事業部門と連携する経験・スキルも身につきます。
広報・PR部門
自社の情報を対外発信し、メディア対応をする経験はIR活動とも直結します。
財務知識
IR担当者は、投資家が求める財務三表の理解や株価指標の理解が必須です。
また近年は資本コストという概念がより重要視されています。
そのため、CAPMやDCF法といったファイナンスの知識も今後重視されていくでしょう。
語学力
特に海外投資家の保有が多い企業では、英語力があると重宝されるでしょう。
- TOEIC 800点以上
- 英語での決算発表や質疑応答の経験
- 海外投資家とのコミュニケーション能力
- 英文財務諸表の読解・作成能力
まとめ IR担当は財務知識・コミュニケーション能力が必要
最後に本記事の内容をまとめます。
- IR担当は企業全体を理解し、経営者と共に投資家と対話できる業務
- 会計やファイナンスの知識があり、コミュニケーション能力が高い人に向いている
- IR担当になるには財務知識や関連部署での業務、英語力があると望ましい