決算短信とは?投資家が見る決算短信のポイントをチェック

決算短信とは?投資家が見る決算短信のポイントを解説!

この記事の結論

  • 決算短信は、企業の業績や財務状況を把握する重要な手段であり、株価に直接的な影響を与える
  • 特に業績や配当の実績、予想は投資家の注目ポイント
  • 正確な情報を保ち、投資家にとってわかりやすい説明が求められる

決算短信とは、企業の経営成績や財務状況を簡潔に伝える資料で、投資家にとっては「企業の健康診断書」とも言える存在です。

しかし、この診断結果をどのように読み解くかは、まさに投資家次第。

だからこそ、投資家が注目するポイントを理解し、投資家の知りたい内容がしっかりと明示された決算短信を作成することが求められます。

そこで今回は、投資家と企業を結ぶIRにおいて最も重要である決算短信を作成する際の注意点について解説します。

目次

決算短信とは?

決算短信とは、企業が四半期ごとに開示する、業績や財務状態などを伝える重要な資料です。

上場企業はこれらの情報を開示する義務があり、投資家の投資判断材料となるほか、アナリストやメディアにも注目されます。

決算発表日は企業によって異なりますが、日本では3月決算の企業が多く、一般的には3月、6月、9月、12月の計4回、決算短信が作成されます。(公開は45日以内)

投資家は決算短信を通じて企業の業績や財務状況を把握することができるため、株価動向にも直接的な影響を与えるものです。

そんな決算短信の構成内容や役割について詳しく解説していきます。

決算短信の構成内容

決算短信は通常、以下の要素で構成されています。

  1. 連結経営成績
  2. 連結財政状態
  3. 連結キャッシュ・フローの状況
  4. 配当の状況
  5. 連結業績予想

連結経営成績

決算短信 連結経営成績

売上高、営業利益、経常利益、当期純利益といった、企業の成績を示す基本的な指標が記載されます。

また、1株当たり当期純利益(EPS)や自己資本利益率(ROE)、総資産利益率(ROA)も記載されます。

ただし、四半期決算短信では、通期決算短信に見られる詳細な利益率などの指標は通常記載されません。

また、詳細な経営成績に関する説明やセグメント別の業績、損益計算書などが後ろに記載されることが一般的です。

連結財政状態

決算短信 連結財政状態

総資産、純資産、自己資本比率、1株当たり純資産(BPS)など、財務状況を示す重要な情報が含まれます。

記載される内容は企業によって異なり、四半期決算短信では記載されない項目もあります。

さらに、詳細な貸借対照表やその説明が後ろに記載されることが一般的です。

連結キャッシュ・フローの状況

連結キャッシュ・フローの状況

営業活動、投資活動、財務活動におけるキャッシュフローの詳細が記載され、企業の資金の流れを把握することができます。

また、現金及び現金同等物の期末残高も開示されます。

ただし、四半期決算短信では、キャッシュ・フローの状況が記載されないことがほとんどです。

配当の状況

配当の状況

企業が行う配当金の支払いについて、配当金額や配当性向などの情報が記載されます。

前期、今期(実績)、今期(予想)の3つが記載され、比較しやすい形式になっています。

連結業績予想

決算短信 連結業績予想

今後の業績に関する予想が示され、企業の成長見通しを投資家に伝えます。

予想値をレンジを持たせて記載する場合や予想を出さないこともあり、企業によって異なります。

IR資料における決算短信の役割

IR資料には、以下のように様々な種類があります。

  • 決算短信
  • 決算説明会資料
  • 中期経営計画
  • 有価証券報告書
  • 統合報告書

その中でも決算短信は、企業のIR資料の中でも最も重要な位置を占める資料です。

一見、決算短信と似ている有価証券報告書ですが、これは年次報告書であり、より詳細で包括的な情報を提供します。

一方で、決算短信は、企業の業績の速報として、まずは主要な数値や業績予想を伝える役割を果たし、その後有価証券報告書や決算説明資料で詳細な情報を提供する形となります。

そのため、決算短信は、他の詳細な資料(有価証券報告書や決算説明資料)とは異なり、要点を絞った内容となっています。

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決算短信で投資家に注目されるポイント

決算短信で投資家に注目されるポイントは、売上高や業績予想、配当金の予想と配当性向など

投資家が決算短信を見る際に注目するポイントはどこでしょうか?

以下の3つに絞って説明します。

  • 売上高・営業利益・当期純利益
  • 業績予想
  • 配当金の予想と配当性向

売上高・営業利益・当期純利益

これらの指標は、企業の経営成績を表す基本的な指標であり、投資家が最も注目する項目です。


特に営業利益は、企業の本業の収益力を示す重要な指標であり、企業の経営状況を把握する上で欠かせません。

主に、前年の業績や会社予想と比較したり、市場のコンセンサスを上回ったかどうかを基に判断されることが一般的です。

また、決算短信の一番上に表示されるため、ぱっと見たときに目に入りやすい点も特徴です。

業績予想

決算短信では、業績予想の項目も投資家が注目する重要なポイントです。

上期や通期の予想を確認することができ、今後の見通しについて確認することができます。

また、予想の修正が行われた場合には適時開示が発表され、上方修正がなされると、株価にポジティブな影響を与えることが多いです。

業績予想の説明では、企業が今後どのような成長を見込んでいるか、また外部環境がどのように影響を与えると予想しているのかが反映されているため、投資家にとって非常に注目すべきポイントとなります。

そのため、投資家にとって分かりやすく、納得のいく文章で説明することが重要です。

配当金の予想と配当性向

決算短信では、配当金の予想や配当性向も投資家にとって注目ポイントです。

投資家にとって、安定した配当や増配は投資判断において大きな要素となります。

配当金予想に修正があった場合、別で適時開示が行われることが多いです。

また、株主優待券や自社株買いなどの発表は、決算短信とは別に開示されることが多く、詳細な株主還元の方針は決算説明資料に記載されていることが一般的です。

決算短信を作成する際のポイント

決算短信を作成する際のポイントは情報の正確性や投資家目線を意識することや、業績予想など今後の見通しを説明することが重要

最後に、決算短信を作成する際に重要な点について以下の3つに分けて説明します。

  • 情報の正確性
  • 投資家目線を意識
  • 業績予想や今後の見通しの説明

情報の正確性

決算短信を作成する上で何よりも重要なのは、情報の正確性を確保することです。

決算短信に誤った情報や不明瞭なデータが含まれていると、投資家からの信用を失う可能性があります。

そのため、複数人で慎重にチェックを行い、誤った情報を投資家に開示しないことがIR担当者には求められます。

投資家目線を意識

決算短信は投資家向けの資料であるため、読者である投資家の視点を意識して作成することが重要です。

自社の業績を分かりやすく伝えるために、フォーマットを統一し、主要な数値や業績の動向を明確に示すことが求められます。

また、決算短信のフォーマットは、証券取引所が定めた所定の様式に従って作成することが義務付けられています。

さらに、業績の変動理由や予測に関する根拠を明確に説明することも、投資家の信頼を得るためには欠かせません。

投資家が実際に読むことを想定して、わかりやすく、かつ信頼性のある内容を心掛けることが重要です。

業績予想や今後の見通しの説明

決算短信では、業績予想や今後の見通しについて記載し、企業が置かれている外部環境や今後の成長について開示することが重要です。

投資家が企業の今後の展望を把握し、投資判断を行う材料となります。

成長を期待させるような前向きな情報を提供することが、投資家に対するアピールとなります。

一方で、業績予想や今後の見通しを曖昧に記載したり、情報が不十分であったりすると、投資家に対して不安感を与え、「見通しが悪いのではないか」といった印象を抱かれる可能性があります。

数字が主に示される決算短信の中で、文章でも的確に説明を行うことが重要です。

まとめ 決算短信は企業と投資家を繋ぐ重要な架け橋

最後に本記事の内容をまとめます。

  • 決算短信は、企業の業績や財務状況を把握する重要な手段であり、株価に直接的な影響を与える
  • 特に業績や配当の実績、予想は投資家の注目ポイント
  • 正確な情報を保ち、投資家にとってわかりやすい説明が求められる

投資家は決算短信をもとに投資判断を行うため、企業にとって極めて重要な役割を果たします。

一方で、投資家が正確に情報を理解するには、決算短信の透明性と分かりやすさが欠かせません。

丁寧な情報開示を徹底することが、投資家との信頼関係構築の第一歩です。

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